『M-1グランプリ2006』@朝日放送系列

とりあえず、
・非吉本の実力派コンビを決勝に出さない
トータルテンボスPOISON GIRL BANDザ・プラン9といった、
 この1年での単独ライブ活動を評価したかのような人選
 (トータルテンボスは全都道府県での漫才ライブツアーを敢行、
  POISON GIRL BANDは、M-1に照準を合わせた、漫才を何本もやるライブをスタート、
  プラン9は、本公演の動員が順調に伸び。
  が、彼らは、いろんなコンビが出るライブで爆笑を獲っていたわけでは決して無い)
など、
例年にもれず吉本興業内外のしがらみ丸出しな
準決勝→決勝進出者 の流れに、
真の“漫才日本一決定戦”じゃないよなー、
吉本興業、売り出したい人博覧会”やんなー、と萎えながらも、


今年中盤からの、チュートリアルの神がかり的な勢いには
「このまま優勝まで行ってほしい!」と思わずにはいられないものがあったので、


【本命】チュートリアル
    (キ●ガイ徳井の魅力を炸裂させるスタイルを得てから、「コントのほうが漫才よりエエのに」の評価をひっくり返した)


【対抗馬】フットボールアワー     (準決勝で演った『フットボールアワー戦隊』の迫力は、段違いだった)


【敗者復活枠】U字工事 or NON STYLE 
       (予想というより希望)
と予想。


1)[[POISON GIRL BAND]] スニーカーネタ。
 さんざん新しいネタ作っといて、これ持ってきたかー!
 まあ、出順がトップだからか。解りやすく、客をほぐしやすく、か。
 でもその結果、自分達の魅力の“低体温な感じ”が出せなかったような。
 すべては、出順の抽選で左右されてしまったか。


 あと、緊張のせいかマイクのせいなのか、阿部のせっかく特徴ある声質・しゃべり方が
 生で聴くより普通っぽく聞こえ、損してる。


2)[[フットボールアワー]] フットボールアワー戦隊。
 出たーーー!!!伝家の宝刀!
 かなりの数のテコ入れで超バージョンUPした名作で、
 最初っから、飛ばす、飛ばす。
 けど序盤は、まだ会場の温度のほうがあったまってない状況ゆえ、やや飛ばしすぎの感が。
 しかし、パワーで押しきった。


 〜敗者復活者・発表〜 ライセンス。
    へぇ〜。ラストチャンスゆえ?これも、ライブ功績の評価??


3)[[ザ・プラン9]] 天使と悪魔ネタ。
 ま、このネタでしょうね。
 何度観ても、漫才としてのグルーヴは生まれてないと思う。
 ほかの漫才師並みに1つのネタを徹底的に演りこめば、生まれるのかも。


4)[[麒麟]]
 紹介Vの「公園買い取りたい」にウケつつ。
 田村→サル、川島→サルまわし の、ファッションショーネタと同じ、タイトな構図。 気迫はあるも、これぐらい安定して当たり前、と見られるM-1常連がゆえ、
 観客への裏切りが…もうちょい欲しくなるのは皮肉。


5)[[トータルテンボス]] ラーメン店ネタ。
 いつ見てもソツが無い漫才。
 でもそれが、突き抜けなさと表裏一体。

6)[[チュートリアル]] 冷蔵庫ネタ。
 いつ見てもおもろい、暴走ネタ。
 ちょっとアンジャッシュ的な会話すり替えテクニックを用いた構成で、
 徳井のキ●ガイさを思うそんぶん、引き出しまくり。
 なおかつ、「こういう強引なカン違い人間、おるよなー」という、大きな共感も拍車をかける。


7)[[変ホ長調]] (※三回戦@東京と同じネタ)
 このネタしか知らないので深くは語れないが、
 一歩ずつ丁寧に階段を上がっては ちょいちょい小さくコケる、を繰り返し
 客をすこ〜しずつ催眠術にかけていくかのような二人の芸風は、
 シンプルがゆえにごまかしが効かず、1つ調子を外すとすべてがポシャるため、
 かなりの演技力が無いと、演れない。

 
 それを、まるでフツーのOLがお昼休みにおしゃべりしてるかのように錯覚させるのは、
 共感度の高い小ネタ選びの上手さも大きい。


 しかし今日は、ほんのちょっとだけゆっくりすぎた序盤と、
 彼方が「松たか子」という名を噛み、動揺を表情に出してしまったことで魔法が一瞬とけた。
 それに尽きる。


 カウス師匠がたとえた「太極拳」、言い得て妙。


8)[[笑い飯]] 箸→おにぎり
 なんか、哲夫、老けた…?
変ホ長調がモヤッとした煙をたなびかせたあとは誰もがやりにくかろう。
 その煙を超高速で換気し、自分達の空気に変えることが勝利への必要条件だが、
 客をノセるまでのストロークが長いこのネタは、それには不向きだった。


9)[[ライセンス]] 大人向きドラえもん
 もう今どき『ドラえもん』引用のネタやられても…。
 既存のマンガ作品など、他者の力を借りすぎるのは、
 自己の評価を下げることにつながると気づいてほしい。


■決勝■

  1つめのネタと同じ構図で勝負。
  アドリブ入れるも、川島の語りがなめらかすぎて、ヤマ不足…!

  こちらも、1つめと同じ構図。
  ポテンシャルをキープしすぎるあまり、緩急不足・・・!

  こちらも、1つめと同じ構図。
  テレビ観戦では、1つめのネタよりも薄まって感じる。
  しかし審査会場では1つめの再来が求められていたため、会場が満足感で包まれ、彼らの味方となったようだ。


  結果、史上初の審査員全員一致、というミラクルでチュートリアル
  テレビ観戦してても納得の結果です。




◆観終えて◆
・久々に下馬評どおりの結果の優勝者に、爽快感。
・福田の歯、治したんが、縁起良かったんかな?
・視聴率が悪いと今年で終わるという噂も耳にしたけど、去年より数字獲れたのかな?


◆大会全体の感想◆
・「相方をずっと無視」とか「やれって言ったのにやらない」とかの小手先テクニック天丼はもう、アマチュア達にまでコピーされ尽くし。いよいよ終焉だ。
 今日のチュートリアルの成功を受け、
 「ネタ全体の組み立て方をいかに新発明するか」に大きく回帰するだろう来年、どんなネタが出揃うか楽しみ。
 (だからこそなお、ネタ自体の良し悪しを今年よりも評価する来年であってほしい)


・来年ももし開催されるなら、非吉本の漫才師も正当に評価せよ。
 コント師であるバナナマンのブレイクもあったし、
 大会参加しようという非吉本のコンビが減れば、大会のクォリティが下がる懸念が。
 いばら道である漫才という種目をあえて選ぼうという者がどんどん減り、関東圏の漫才が絶滅するぞ。
 ただでさえ、「漫才の面白さが解らない」と言う東の人が多いのに…。